豆辞典 珍商売 浄化飲料水の販売


フィリピンの水道水は比較的きれいで安全と言われている。しかしながら1990年代からミネラルウオーターが隆盛となり、水は買って飲むものという習慣が定着してきた。さらに街の至るところに水道水を浄化して販売する店がオープンし、20リットル入りのボトルを中身だけなら50ペ ソで売っている。しかも事務所には無料で温水と冷水が作れる装置を貸し出し、配達もしてくれるので、水道水をそのまま飲んだり、沸かして滅菌して冷やすなど、面倒く さいことをする人はいなくなった。一時はこの水の浄化ビジネスをやるのがブームになったが、もはや過当競争を経て選別の段階にあるようだ。

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浄化飲料水を売る店

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浄化水が入ったボトル、一本50ペソ(中身だけ)

 

マニラの水がなぜ汚いのかあるいは心配する必要があるのか、ということについてマニラ日本人クリニックの医師(1990年ごろ駐在)が、 面白い分析を披露してくれた。上水道というものはそもそも、浄水場で圧力をかけて配水するものであり、水道管の中は圧がかかっている、しかしながら、マ ニラは水不足のために、各ビリッジにはポンプが備え付けられていて、水を自分のところに引き込んでいる、従って、配水管の中は負圧になっていて、水道水の みならず、水道管の周囲の下水まで吸い込んでしまっている、だから、もともときれいな水でも汚染されることが多いのだ、ということだそうだ。これは由々 しき問題で、伝染病の蔓延にもつながりかねない。従って、この浄水ビジネスは理にかなったものかとも思う。

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アルカリイオン水を売り物にした店

 ミネラルウオーターと並んでフィリピンのスーパーに並べられているものの中に、Distilled Water(蒸留水)が ある。日本では見かけないと思うが、蒸留水だからほぼ純粋な水だ。純粋だから安全とのキャッチフレーズだが、私は意見を異にする。人は水から多くのミネ ラルをとっている。だからわざわざミネラルウオーターとしてほとんどの水が売られているのだ。この水からのミネラルの吸収がなくなると、ミネラル不足 となって骨が弱ると考える。私がクエートに仕事で駐在していたころ、飲み水に限らずすべての水は海水からの蒸留水だった。長年それを使っていたら、どう いうわけか歯茎がえぐれてきたのだ。博識の友人にその話をしたら、それは水のせいだ、ほっておいたら歯がポロリと落ちてしまう、だからかれはすべての口 に入る水はミネラルウオーターを買って使っている、というのだ。このことを日本に帰ってきた歯医者に話したら信じてもらえず、歯の磨き方に原因があると いうのだ。とりあえず詰め物をして、見てくれを良くしておいたが、その後は何も起こらないので、やはり水のせいだったと信じている。そういうわけで、AbsoluteとかWilkinsonなどの蒸留水を定常的に使用するのは避けたほうが賢明と思う。なくなった歯はもはや生えてこない。

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