マニラ観光の目玉、グリーンヒルが空っぽに 2014年10月12日


将来、フィリピンに永住することを計画している日本人ご夫婦のマニラ案内を行った。さらにこの日は、今後、日本人ゲストの送迎や案内を手伝ってもらえるというお若い退職者を見習いとして同行してもらった。

マニラツアーの順序は下記の通りだ。このうち当たり前の観光コースは、イントラムロスだけで、あとは、私が選んだマニラの見所だ。庶民の町キアポから最新鋭の都市、グローバルシティまで、マニラの上から下まで満喫できるコースと自負している。同行した若い退職者もイントラムロス以外は、すべてはじめての訪問だと、大いに満喫していた。

① カーティマール・マーケット;パサイシティ、リベルタッド/ブエンジアの交差点近くにあるウエットマーケットは、普通の庶民の台所だが、外国人の買い物客が多く、エビやカニなどの高級食材や細めのきゅうりなど他では手に入らない食材が並んでいる。また、日本食材店が3軒あるほか、100軒ほどのペットショップがたち並ぶウエットマーケットの雄だ。

② イントラムロス;マニラ観光のメッカ、世界遺産のサンアガスティン教会、スペイン統治時代の旧家、カーサマニラ、それにサンチャゴ要塞などが定番の見所だ。特に、土日に行くと、教会で結婚式に出くわすことが多い。

③ キアポ;フィリピン随一といわれ、庶民の信仰を集めるブラック・ナザレ(キリスト像)を祭る。参道は屋台で埋め尽くされ、教会の中はいつでも人であふれる。1月9日のフィエスタには100万人の信者がブラック・ナザレに触ろうと押し寄せ、死者も出るくらいだ。

④ チャイナタウン;サンタクルス教会とビノンド教会を結ぶ、オンピン通りには金屋が立ち並ぶ。旧正月には獅子舞と龍の舞が練り歩き、爆竹が鳴り響く。川沿いの、安くてうまい中華屋台が穴場だ。

⑤ グリーンヒル;掘り出し物のメッカ、数百の一坪ショップが立ち並び、バッグ、靴、時計、衣類などのブランド品(ただしコピー商品)で、埋め尽くされる。冷房の効いた屋内にあるので、ゆっくり買い物を楽しめる。この日の最大の見ものだった。

⑥ ボニファシオ・グローバルシティ(アメリカン・セメタリー);2000年代に建設が始まった新興都市で、いずれは、マカティをしのぐ経済の中心になる勢いだ。その一角に、陸軍基地の時代からひっそりとあるのがアメリカンセメタリー、訪れる人もまばらだが、新興のビルとのコントラストが、マニラで、一番美しい景観を作っている。

⑦ ダスマリニャス・ビレッジ;マカティの東に広がる超高級住宅街。マカティは、このほかに、フォルベスパーク、ウルダネッタ、ベルエアー、サンロレンソーなどの高級住宅街に囲まれているが、そこには、小さな学校ほどもあるような邸宅が数千軒並んでいる。

⑧ アラバン;マニラ南方の住宅街。外国人が多く住み、パラニャケ、ラスピニャスなどとともに首都圏のベッドタウンを形成し、Sky Way開通により都心部へのアクセスが良くなっている。しかし、最近はかなりの交通渋滞が日常的になっているのが難点だ。

⑨ニューポートシティ;ターミナル3の前面、元海軍基地のビラモールの一部をメガワールド社が開発したコンドミニアム街。マキシム、マリオットなどの高級ホテルも開業しており、Resort Worldという最高級カジノもある。

⑩ グリーンベルト;マカティのど真ん中、都会のオアシス。庭園に面した屋外のテーブルに世界各国の人々が集う。ツアーの最後を飾るのにふさわしい。

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カーティマール・マーケットでは、お米の平均的値段がキロ50ペソ(125円)くらいになっていた。かつて、日本の十分の一、最近は5分の一、そして、今は、円安も手伝って3分の一くらいだろうか。比較的、朝が早かったので、魚も豊富においてあった。

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大き目のエビが大量にある。そして、右は巨大なイカ、身の厚さが2cmくらいありそうだ。

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イントラムロスのカーサ・マニラ、室内は撮影禁止だが、窓の外はOK。中庭から屋根がいかにもスペイン的だ。

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カーサ・マニラの外には数匹の猫がくつろいでいた。こんな風景もいかにもヨーロッパ的だ

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カーサマニラのおくには、カサブランカというホテルが営業している。今回始めて中に踏み入れたが、なかなか風情のあるつくりで、一泊2000ペソ程度で泊まれる。白人客がほとんどだった。

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キアポ教会に通ずる参道は屋台が軒を連ねる。キアポ教会は平日でも人がいっぱいで、休日は、教会の中へ足を踏み入れることは至難の業だ。

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教会の脇にはブラックナザレの像が陳列され、1月9日の出番を待っている。教会の脇は子供のキリスト像(サントニーニョ)や怪しげな薬草を売る店が並んでいる

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さて、今回の観光の目玉のはずだったグリーンヒルに到着すると中はがらんどうで、コピー商品を売る店はすべて取り払われていた。周囲の人に聞いたら、単なる入れ替えで、終末には元へ戻るという。そのため、ここを訪れる人はまばらで閑古鳥が泣いていた。一方、翌日の新聞では、CIDG(パパ・カーネルが所属する国家警察の犯罪捜査組織)が、チャイナタウンの倉庫を摘発して約10億ペソ相当のコピー商品を押収したそうだ。国家警察が本気で取締りを始めたのか、相変わらずの茶番なのか、今後の展開が楽しみだ。しかし、ここがなくなると、観光の目玉が一つ減って、当方としては大打撃だ。

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ボニファシオ・グローバルシティの中央に鎮座するアメリカンセメタリーの美しさは健在だ。フィリピン最新鋭の街並みなかのオアシス的存在だ。今後、永久にここが無くなることはないだろうから、今後、ますます、その価値を増すに違いない。

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今回、同行したゲストは、こんな場所でアメリカ人に顔を合わせるのはなんとも気が引けると話していた。なにしろ、ここに眠っている4万人の米兵は、すべて日本兵に殺されたのだから、このときばかりは日本人を見たら、心穏やかではあるまいと推察されるのだ

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