キアン、ついに公文をギブアップ 2017年10月13日


先日、ママ・ジェーンが、キアンの成績が急降下して、現状のクラスを維持するのが難しい、下位のクラスに編入されるかもしれない。そうなると、成績の悪い子ばかりのクラスで、キアンの将来が危ぶまれると危機感を露にしていた。そして取った処置が、当面、パスコン・携帯ゲームの禁止だ。私にも決して携帯を貸し与えないようにと懇願してきた。私としては、携帯よりも一体何故キアンの成績が悪くなったのか、現状を把握して、適切な指導を行わなければならないと思うのだが。一方、ママ・ジェーンは公文をやめて算数など多教科をこなす家庭教師を雇うべきと主張していた。

8月某日、Intramuralsの集まりに駆り出された。Intramuralsとは何度聞いてもよく意味がわからなかったが、要は生徒の家族が集まって行う年中行事のようだ

パソコンゲームを禁止されたキアンは、私の部屋に来て、やることがないからトランプゲームをやろうと言い出した。数年前、ゲームは、遊びながら子供の思考、計算能力を育てると、碁、将棋、トランプなどを奨励したのだが、今一乗ってこず、忘れ去られてしまっていた。碁や将棋をこなすには程遠かったが、トランプは、お互いの手から一枚のカードを出して、大きさを競うという単純な遊びにキアンは興味を示していた。久しぶりにそれをやろうというのだ。そこで私は、2枚づつ出して、そのトータルで勝ち負けを決める、あるいは一枚づつ出してその差を計算できたらキアンの勝ちとするルールを追加した。以前は、公文を思い出すからいやだと言っていたが、今回は計算に自信があるのか、OKとなった。

ダンスの代表に指名されてうれしそうなキアン

そこで、発見したのが、キアンは一桁の足し算や引き算が暗算ですらすらとこなすことができず、もごもごと指を動かして考えていることだった。公文では3桁の足し算や引き算をやっていて、それなりにこなしていたはずなのだが。この状況は何なのか、この3年近い公文での苦悶は一体なんだったのかと、愕然とした。一方、学校の宿題を見てくれと頼まれたが、なんと二桁と一桁の掛け算ではないか。公文で引き算に明け暮れているうちに学校では九x九(ただし1から5まで)が始まっていて、二桁にまで突入していたのだ。私は、一桁の掛け算は出来るものと仮定して、二桁と一桁のの掛け算の仕組みを教科書に添って教えたが、キアンはわかっているのかわからないのか、謎だった。それでもあとで、キアンは、ママ・ジェーンにダダ(私)の教え方はわかりやすくて、Very Goodとお世辞を言っていたらしい。

入場行進では旗持ちを任された

それで、気がついたのは、足し算と引き算は公文でいやというほどやっていたので、学校でもそこそこの成績を維持していたものの、掛け算に到って、しっちゃかめっちゃかになってしまったらしい。そこで、成績の急降下がおきたのではないかと推測された。やはり、学校の進捗にあわせてキアンを鍛えないと、いずれ算数嫌いになって、数字から逃げまわる人生になってしまうことは必定と思われる。両親の感想はは、小学校のときに算数の授業についていくことができず、授業中、わかったような顔をしながら授業が終わるまで我慢しているのが辛かったと、いうもので、そんな思いをキアンには味あわせたくないという。多分、フィリピンの国民の大多数がこんなものなのだろう。それでも学校をちゃんと卒業しているのは、フィリピン人特有の有事への対応力なのだろう(要はカンニング)。

 

小学生全員が集まって自慢の衣装と踊りを競う

そこでキアンのコメントも手伝って白羽の矢が当てられたのが私だ。例え、公文を続けても、学校で劣等生では致し方ないので、即刻公文を退学させることにした。これにはキアンは大賛成で、私としては週二回、学校の出迎えと公文でのアテンドがなくなるのはかなり楽になる。そうなれば、出迎えは水曜のピアノのレッスンだけになる。ピアノの方は、かなりの成果が出ているので全員、継続に異議はない。

10月1日はFamily Dayとやらで、やはり親が参加する催し物だ、この日は2年生だけだった

ドンボスコの算数の教科書は440ページもあって、2年生は二桁ないし3桁の数字の概念から始まって、その足し算と引き算、さらに現在、一桁の掛け算(5まで)と簡単な二桁x一桁まで進んでいる。そしてさらに割り算、分数までカバーしている。非常に懇切丁寧な教科書で、これに添って進めるだけで、自然に理解を深めることが出来そうだ。しかし、大多数の子供達は、この辺で暗礁に乗り上げて、数字から一生目を背けることになることは容易に想像される。この2年生で習う四則演算が今後のキアンの生涯を決める正念場となりそうだ。

いならぶ屋台になんとラーメンのちょうちんがあったが、ただの飾りつけらしい

2年生のはじめからやればキアンの弱点もわかるだろうと復習からはじめたが、一桁の足し算や引き算は、意外と暗算でもいけそうだ。掛け算もまあまあ概念は把握しているようでもある。毎日、一時間ほどやり続ければ、いずれ日本人から見ても全うといえるようになるだろう。しかし、九九を暗記するためには繰り返し唱えるしかない。二の掛け算を10回反復しろと指示すると、2回ほどやったらすぐに飽きてしまい、あげくのはてに、簡単に記憶する方法はないのかと問い返す。「反復しかない、ダダは1000回ぐらい繰り返した」と言い聞かせたが、キアンの根気のなさは問題で、算数の教科書もせいぜい2ページで飽きてしまう。

クラスの仲間が整列させられて記念撮影

そうなると、トランプでゲームを始めて、足し算と引き算をやらせる、さらにテレビを5分だけ見せるなど、そうこうしているうちに8時半の就寝時間がやってくる。キアンの集中力が途切れると、私の言っていることもうわのそらで、イラつくことも多々あるが、キアンよりも当方の忍耐が肝心のようだ。

わが子の写真を必死に撮る親はいずこも同じだ

思い返してみると、私自身、子供のころ、四則演算に苦労した覚えがない。またさらに家で勉強もしたことはないが、息子に聞いても同じ答えだ(もちろん当時、塾や家庭教師なんてものは皆無だ)。それでも誰もが、一桁程度の四則演算はそらで唱えることは出来るようになっている。一体何が違うのか、DNAのなせる業なのか、教育方法に問題があるのか、あるいは、数字を英語で読むことに問題があるのか、答えは謎だ。英語の本家、アメリカ人も数字に関しても滅法弱いそうだが、十一というのがElevenで、十二がTwelve、十三からは、Thirteenとなり、さらに二十一となると、Twenty Oneと十の位と一の位が逆転して、桁の繰り上がりが理解し難いのが原因だと話を聞いたことがある。いずれにせよ、キアン(私も含めて)の数字との格闘は当面続きそうだ。

音楽が停まると、新聞紙の上に二人で載る、そして一曲ごとに新聞を折りたたんで小さくしていく、最後は相手を抱っこすることになるが、男女のパーティ・ゲームの定番だ。今回はキアンがパパ・カーネルと挑む

下記をクリックして、このゲームの様子を動画で見て欲しい。キアンのダンスがすばらしい。

FSCN1438

 

 

 

 

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