オールセイントデイ 2008年11月3日


 111日はオールセイントデイ(万聖節)で祝日だ。今年は土曜となったので、前日の1031日が半ドンとなった。別名ハロウィンディとも呼ばれるが、その名のごとく、罪人も含めてすべての死者が聖人となり家族に会うために現世に戻ることが許される日とされている。この日は夕方からすべての人々が故人に会うために墓地を訪れる。そして、故人を囲んで家族団らんのひと時を過ごすために食事の支度までしている。そして翌朝まで墓地で過ごし故人を懐かしむのだ。

墓地は年に一度のラッシュだ

墓地は年に一度のラッシュだ

 この日、ビコール地方アルバイ県、タバコ市の墓地にその様子を見物に出かけた。タバコ市には隣接して3つの墓地がある。ひとつは一般用、二つ目はお金持ち用、そして3つ目は中国人用である。それぞれの墓地の大きさは同じくらいだが、一般用墓地にはよくこれだけの人がタバコに住んでいるかと思うほどの人でいっぱいだ。メインの通路は真ん中にロープが張られ一方通行となり、交通整理がされているほどの人出なのだ。この日は日本のお盆と同じで、マニラなどの都会に出ている人たちが里帰りをしていて、街の人口は数倍に膨れ上がっているのだという。

新しいお棺は上に積み上げられる

新しいお棺は上に積み上げられる

社員のお墓は中級

社員のお墓は中級

 ご承知のとおり、フィリピンでは土葬だ。なきがらは立派な棺に納められ、かつコンクリート製の箱に入れられて祭られる。普通はコンクリート製なのだが、お金持ちのものは御影石などまるでエジプトの王の棺のようだ。コンクリートの棺は必ずしも地下に埋められず、地面に露出しており、その上に幾段にも積み上げられる。その上では居場所のない子供たちが座り込んでいて、まるで夕涼みをしているようだ。相変わらずのことではあるが、それにしてもやたらと子供と若者が多い。そして普段外を出歩かないような深窓の令嬢が訪れるのではっとするような美女も多い。どこへ行っても老人しか目にしない日本に比べて、フィリピンの将来へ向けての底力を感じられずにはいられない。

最下層の人たちの墓地はお棺もない

最下層の人たちの墓地はお棺もない

 一般用の墓地にはコンクリート製の棺が所狭しと立体的に配置されているのだが、お金持ちの墓地には屋根で覆われているもが多く、とても立派なたたずまいだ。その中のひとつに元上院議員でタバコ市のメインストリートの名前にもなっているZIGA(シガと読む)一家の墓があった。また、一般用墓地では自分の事務所の社員のおじいさんのお墓にもしばし見舞うことができた。中国人用の墓地はやはり圧倒的な財力を誇示するものばかりだ。小さいながらも豪邸ともいえるたたずまいで、死後の世界でも優雅に暮らせるようにとの中国的発想なのだろう。

お金持ちの中国人のお墓はまるで高級住宅だ

お金持ちの中国人のお墓はまるで高級住宅だ

午後7時ともなるとタバコ市のメインストリートは人でいっぱいで、車両の通行は許されない。南のレガスピ市や北の街には、この道を通っていくしかないはずなのだが、問題はないのだろうかと心配になる。また、道路沿いにはどこの国でも同じで、人が集まるところには屋台が並んでいる。焼き鳥やトロトロが多いが、ルーレットのような賭博を公然と行っているところがある。葬式は賭博を開帳することが黙認されているが、この日も特別にOKなのだろう。しかし、年に一度のご開帳では商売にならないと思うのだが。フィリピンの田舎でも段々西欧化の波が押し寄せているのか、Mister Donutの屋台も出ていてそこそこ売れているようだった。

祭りの屋台にバーベキューはかかせない

祭りの屋台にバーベキューはかかせない

道に並ぶ屋台

道に並ぶ屋台

葬式につき物のギャンブル

葬式につき物のギャンブル

ミスタードーナッツも出店している

ミスタードーナッツも出店している

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