また一つマニラ名物の灯が消えた(その3)2010年7月24日


先月末、荘厳な就任式を行なって大統領の座についたベニグノ・アキノ3世、ノイノイ・アキノ大統領は連日、旧アロヨ政権の不正を追求する姿勢を示し、絵に描いたような正義漢振りを発揮している。国民の支持率も高いようだが、フィリピンでは政治的腐敗あるいは汚職がまかり通っているだけに、正義を発揮するのにわかりやすくて容易なようだ。日本は政治・経済そのものが閉塞状態にあり、正義を貫いても何の成果も挙げれないが、その点フィリピンは単純だ。しか し、その正義の先にあるもの、要は国民生活に何の改善が見られず、アキノ大統領の自己満足だけに終わってしまったら、国民の支持は地に落ちるだろう。

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ところで、アキノ大統領に二つの悩みがある。一つは彼がヘビースモーカーで、周囲が勧める禁煙を実行できるかどうか。そしてもう一つはマニラ名物のワンワン(自動車サイレン)の不使用を宣言したことだ。フィリピンでは政府高官や軍・警察の幹部は自家用車にサイレンを取り付けて、渋滞を逆走したり、信号を 無視して走ることが日常的に行なわれている。しかも、本物の白バイが観光バスを先導して走っているのをよく目するが、これは警察官のアルバイトで、私用に サイレンや公務上の権力を乱用しているのだ。。アキノ大統領はそれが権力者の横暴であるとして、自ら交通ルールを守って移動することを宣言したのだ。

  そのため、自動車部品の販売店が集まっているバナウエの店頭からサイレンが消え、車からサイレンを取り外す注文が殺到した。政府高官や軍・警察の幹部はそ れぞれ数台保有する自家用車にもサイレンを取り付けており、さらに民間人も自家用車にサイレンを取り付けて不正に使用している輩が少なからずいたのだ。

一方、アキノ大統領は公式な会議に遅れることが常態化した。ご承知の通り、マニラの交通混雑は地獄のようで、いつ目的地に到着するかは神頼みだ。アキノ大 統領の到着を待つ関係者はたまったものではない。アキノ大統領がサイレンを使うのは合法であり、超多忙な大統領が公務を全うするためには必要なことだと、 取り巻きが主張しても、アキノ大統領にとって一ヶ月あまりで公約を翻すことはいかにも屈辱的で国民の信頼を裏切ることにならないとも限らないと、慎重なよ うだ。一方、世論は、いつまできれいごとを言っておれるものかと、少々冷ややかな目で見ている。

話は違うが、我が相棒の赤ちゃんも公園 デビューを果たして1ヶ月あまり、父親に抱かれて、あるいはベビーカーで外に出るのが大好きだ。悩みなのは両親で、夜が明けると5時前から外出をおねだり して騒がしい赤ちゃんにゆっくり寝ていられない。国家警察の幹部という多忙な毎日を過ごすカーネルも赤ちゃんのリクエストに答えないわけには行かず、早朝 散歩の役割を負っている。まだ4ヶ月足らずだが、ふさふさした髪と8kgもある大型の赤ちゃんに周囲も一目置いているようだ。

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隣の赤ちゃんは6ヶ月の先輩でこちらも9kgと大型の赤ちゃんだ。女のこのように見えるが、実は男の子で、髪が長いのは、フィリピンでは1歳になるまで髪をきるのは縁起が悪いと言って切らないので、このように長髪の赤ちゃんになってしまうのだ。

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